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アンが、バレンタインデーの朝に、ボーイフレンドのチェイと別れた。

人のプライベートをここで晒すのもどうかと思うが、
まあ、私の日常に起こった出来事の一つとして、
私の視点で書かせていただきます、ハイ(事実、面食らったし、
多少なりとも私の日常にも影響してるんで)。

アンはスコットランド出身のチェイと昨年の9月ごろ例のごとくブラインドデートで知り合った。
チェイは口数は少ないけど、メールとか手紙はけっこう熱くて(アンはいちいちそれらを
私に見せるのだった……いやー何度「いちいち見せる必要ないよ」と言ったことか)、
二人はたちまち恋に落ちた。当時プリマスで働いていたチェイはこれまたものすごい速さで
スコットランドにある自身の持ち家を売り(!)11月ごろこっちに越してきたのである。
それ以来、彼はこの家に一緒に住んでいた。

二人とも数回の離婚経験者で子供もいるし、歳もアンが51歳、チェイが50歳という、
いわゆる熟年カップルなわけですが、まあ、カップルというのは何歳になっても
若い時と同じような理由でケンカとかするわけで、
類にもれず二人もよく「男女間の見解の違い」によるケンカを繰り返してはいた。
アンはかなりキャラが濃ゆくて極端な性格。豪快で口も悪いけどいたって繊細、
そのうえ相当ロマンチックで思い込みが激しく、
恋愛経験豊かな割にいまだに恋する乙女みたいな感じ。
対するチェイはある意味、典型的な男の人で、
クリスマスなどのイベントにほとんど興味がなく(しかし大家族の生まれらしく、
毎日のように娘や母親や兄弟に電話をかけていた)、音楽好きで(彼自身ドラマーらしい)
冗談の通じるタイプだけど、基本的に感情を表に出さない。
酒と煙草の量も相当なもので、それもケンカの原因になっていた。

しかし、なんだかんだ言いつつも、そして波はあれど、二人はうまくいっていたように見えた。
アン自身、彼と出会う前よりもずっと楽しそうで幸せそうに見えたし、
自分でもよく「私、今すっごく幸せ!」って言ってたし。

そしてバレンタイン前日。私が日中、外出しようという時に、
アンが「ちょっといい?」と言ってこっそり頼みごとをしてきた。
「明日のバレンタインに彼に何かあげたいの。でもプレゼントを部屋に置いたらバレちゃうから、
明日まであなたの部屋に置かせておいてもらっていいかな?」
もちろん私は快く了解。がんばってね!と言って家を出た(ちなみにイングランドでは
日本とは逆で、基本的には男性から女性に、もしくはお互いに、というのが一般的らしい)。

しかし夕方、家に帰ってみると、なんとなく家の中が険悪なムード。
私の部屋に置いてあるはずの彼へのプレゼントもない。案の定、ひと悶着あった様子。
こういうことは以前にも何度かあったので、
いつものことかと大して気にしていなかったのだが(一番印象深いのはなんといっても
元日です。友達と新年を祝ってから朝2時ごろ家に戻ると、二人はケンカしていた。
そして私は元日早々、朝の4時までアンにカレシのグチを聞かされたのだった……)。

しばらくして(予想通り)アンが怒り心頭で私の部屋にやって来て
「あいつ、バレンタインデーなんかクズだって言うんだよ。私は朝からシャンパンで
乾杯して(!)プレゼントを渡して…って計画してたのに! 
頭にきたから自分のために自分で花買って飾ってやった」と言い放った。
「まあまあ…。大抵の男はイベントとか興味ないんだからさ、ほっときなよ。
代わりに私がなんかあげるよ」
ありがちなケンカだと思って私はそう言ったのだけれど、
アンの機嫌はなかなか直らなかったようだった。

そして夜も10時をまわったころ、アンに用事があってリビングに行くと、
そこにはチェイしかいなかった。「アンは?」と聞くと「もう寝てるよ」とチェイは笑って言った。
彼もまさか翌日、家を追い出されることになるとは想像していなかったであろう、
その時は。(つづく)

●today's music:MY BLOODY VALENTINE/ISN’T ANYTHING
図書館にあったので、ひっさしぶりに聴いてみたりして……。
いやー懐かしいな……。

by satoritti | 2006-02-14 23:36 | something

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