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曇り、ときどき大雨

午後イチからいつものプリチャへ赴き、2本立て続けに映画鑑賞。

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まず一本目はコーエン兄弟のオスカー受賞作「No country for old men」。実はこの映画、少し前にここで鑑賞済みだったのですが、最初の15分ぐらいを見逃してしまっていたことと、アメリカの男英語(しかもTexan)が私にはちょっと難しくて理解度がいまひとつだったことと、そして理解度がいまひとつだったにもかかわらず、全編通して目が離せないほど引き込まれちゃったってことで、本日、二度目の鑑賞をするに至ったのでありました。

そして、二度目もやっぱり夢中になってしまったのであった。
前回、思わず飛び上がっちゃったシーン(モスとシガーが直接対決するシーン)で
やっぱり今回も軽く飛び上がっちゃったりしてる自分に一人ツッコミを入れながらも、
何度見ても変わらぬ緊張感、音楽が一切ないことにさえ気づかないぐらい濃密なつくりに、
再びため息。もうあっちこっちでハビエル・バルデムのシガーについて
いっぱい言及されているので言うまでもないんだけど、やっぱすごいわーあのキャラクター。
モス役のジョシュ・ブローリンも相当いい。
二人とも迷いが全然ない代わりに、執着心がすごい。しかも完全自分正義な人たち。
まさに現代のアメリカ…とか、いかにもなことはさておき、
この濃いキャラクターが、目が離せない理由になっているのは確か。
ジョシュ・ブローリンに関して言えば、グーニーズ大好きだった私はほんと感慨深いし。
うーん、いい感じに歳とってるなあ、こんな感じの男になるとは、
あの頃は想像できなかったよなあ、なんて思って見ていました。
(彼を見ながら、しかし自分も同様に歳をとってるんだよな…と我に返りましたけど)

ストーリーは単純だし、タイトルが言い表しているテーマも、今となっては
特別珍しいものではない。でも、じゃあ、なんでこんなに引き込まれてしまうんだろう?と思うと、
なんだかとっても示唆に富んだつくりになっているからなんでしょうか。
人生って案外、コイントスで決まっちゃうようなもので、でもそのちょっとしたコイントスだって、
選んでるのはあくまでも自分なんだっていう、人生における、
どうにもできない暗黙の法則のようなものが描かれているからなのかな。
人生って、ままなるときもあるけれど、ままならないときは本当にままならないもんなあ。
しかし2回見てもまだ飽きていません。たぶんまた見ると思います。

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続いて2本目は、Jazzトランペッター&シンガーにしてdrug addictのChet Bakerの姿を、
写真家ブルース・ウェーバーがとらえた1998年のドキュメンタリー「Let's get lost」。

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私はJazzを聴かないし、Chet Bakerについてもさほど知らなかったけど、写真の彼があまりにもドラマティックな表情をしているので、見たくなってしまったのでした。で、実際に見てみたら、期待通りの人物で二度惚れ。いや、ああいう人に女性として関わったら大変に違いないと思いますけれども、事実、過去の妻や女性たちが一様に彼のことを「チャーミング」と言っているように、いやでも惹かれてしまうんでしょうねー。だってあの天才ぶり。そしてあの甘い、とろけるような歌声。映画で見て、聴いているだけで、わけもなく涙が出そうになっちゃうんですから。まるで催眠術かなにかのようです。
ああいうのを罪な人っていうんだろうなあ。
ある意味、究極のオスって感じもします。自分のためだけに生きていたのね。
でも娘や息子たちも、なんだかんだ言いながらもお父さんのこと憎めない様子。
この映画を見ながら、男と女についてまたいろいろ考えてしまいました。

さすがブルース・ウェーバー、モノクロの映像がとても美しく、
すべてのシーンがスチール写真のよう。ドキュメンタリーなのに、
このチェット・ベイカーという人の神話的存在感のせいもあってか、
しばし別世界へ連れて行かれたかのような気分を味わいました。

●today's music:Chet Baker/You don't know what love is
しびれる……。特にラストがたまりません。

by satoritti | 2008-08-12 08:37 | film

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