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Barbican theatreにて開催中の、蜷川カンパニー制作のシェイクスピア劇、
「コリオレイナス」を観てきました。主演は唐沢寿明、ほかに白石加代子、勝村政信などなど。
セリフはすべて日本語のままで、電光掲示板に英語字幕が出される形。
観客の多くは日本人だけど、もちろん外国人客の姿も。

ロンドンで蜷川芝居、しかも唐沢さん主演のシェイクスピア劇。
一瞬にしてこれは観たい!と思ったものの、
「コリオレイナス」は古代ローマを舞台にした復讐劇、しかも上演時間3時間20分と長い。
さらにセリフは日本語といえども、シェイクスピア英語を翻訳した日本語なので、
なじみは薄いし、やや不自然に感じられることさえあるはず。
はてさてどうなることやらと思いながら、劇場へ足を運んだ。

単刀直入に言うと、まず、話は思っていたより面白かった。
衣装や舞台美術に和の要素をふんだんに取り入れていたこともあって、
日本の時代劇を思い出し(古典だけにキャラクターもかぶる部分がけっこうある)、
NHKの大河とかがちょっと恋しくなった。
そしてセリフはやっぱり厳つく、堅く、俳優の誰も彼もが(特に唐沢さんが)
長ゼリフを喋りどおし。しかしそれに対する英語字幕はけっこうあっさり。
とはいっても古文なのでやはり堅い言い回しなんだけど。
そんなこんなで、英国人によるシェイクスピア劇を一度、観てみたくなった。
セリフのトーンや運び方など、言葉がもたらす全体の印象が
どのぐらい違うものなのか、確かめてみたい。

とにかく圧倒的な存在感だったのが、白石加代子。以前、日本で蜷川芝居を観たときも
この人の芝居には圧倒されたけど、今回はまたさらに凄みを増していた。
あと、勝村さんもよかったー。
そしてなんといっても我らが唐沢さん!かっこいいー!
少し前に読んだ蜷川さんのインタビューで「コリオレイナスをやるなら唐沢くんしかいない、
彼には武士とも僧侶とも言えるようなストイシズムがあり、その一方で、母親との深い絆を
想像できる一面もある」というようなことを言っていて、妙に納得した覚えがありましたが、
本当に魅力的な役者さんだと思います。この日は少し喉がやられていたようで、
声が少々かすれ気味だったのが残念でしたが、それでもやっぱり素敵だった。
2番目に安い£16の席だったんだけど、劇場がそれほど大きくなかったこともあり、
観やすかったし、近かったのもよかった。

というわけで日本人の私は楽しめた芝居でしたが、
シェイクスピアの母国、ここイギリスではいったいどういう評価が下されるのか。
イギリスはもともと批評精神が高いし、特にシェイクスピア劇ということで、
どういう批評が出るのか気になるところです。

余談ですが、開園前、ロビーで藤原竜也くんを見た。
フツーにトイレに行って、知り合いらしき人たちとフツーに話していた。
よく見ると蜷川さんもいる。気づいたファンがサインをもらったり写真を撮ったりしている。
私も一瞬、ミーハー心を刺激されたけど、
とりあえず声をかけるのも、写真を撮るのも思いとどまった。
しかしそのあと、自分たちの席へ向かう途中の静かなロビーで、
ベンチに座って誰かを待っているらしき蜷川さんと藤原くんがいた。
一緒に行った会社のマユミさんに「せっかくだから聞いてみなよ!」と背中を押され、
その勢いで彼らに歩み寄り、「あの、こんにちは。(蜷川さんジロリ。藤原くんニコリ。で、
藤原くんに向かって)サインもらってもいいですか?(シドロモドロ)」
「あ、すいません、今ちょっと人を待っているので(ニコリ)」
「そ、そうですよねー、すいません…(と、アホみたいな反応...)」
要は断られたんですけど、藤原くんは断り方も爽やかで、ますます好きになっちゃいました。

by satoritti | 2007-04-25 00:13 | art

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